2023/10/07 06:32

おばあちゃんの梨の美味しさの謎




赤い夕日に照らされた商店街に響く電車の音。
珍しく定時で上がれた千晴(ちはる)は、何か秋らしい食べ物でも買おうとウロウロしていた。

春から一人暮らしを始めて半年。
毎日残業続きで、帰る頃には商店街なんて閉まっているし、ご飯を作る気力もない。
だから、いつもコンビニ飯。
そんな日々にうんざりしていた。

珍しく定時で上がれた貴重な日くらい、
何か季節を感じられる美味しいものを食べたい。

秋と言えば…
さんま?
…焼くなんてもっての他、食べた後のゴミが臭うのも嫌だ。
栗?
…おかずにもデザートにもいまひとつ。
焼き芋?
…なんかそれだけでお腹いっぱいになるなぁ。

なんやかんやで、これといったものが見つからない。

端まで来てしまったその時、八百屋でやっと見つけた"秋"。
それは"梨"だった。

家に帰り、食後のデザートに、カットした梨を食べてみた。
溢れる果汁、自然な甘味、爽やかな後味、どれ1つ取ってもコンビニ飯では味わえない幸せを感じた。

と同時に、昔よく、ばあちゃんが切ってくれた梨を思い出した。

ばあちゃんの梨、美味しかったなぁ。
あれ、なんて種類の梨だろう?

翌日、母に、ばあちゃんがいつも何の種類の梨を買ってたか聞いてみた。
すると、「ばあちゃんはいつも値引きされてる梨買ってたから種類なんて気にしたことない」とのことだった。

はて、ばあちゃんが切ってくれた梨は、
どうしてあんなに美味しかったんだろう?

千晴は、あの頃の情景をよく思い浮かべた。

平たいお皿に無造作に並べられた、カットされた梨たち。
それにささる、ばあちゃんの家にしかない小さなフォーク。
小さなフォーク…?

そうだ、ばあちゃん家にしかない、あの2本のフォーク!

ネットで調べるとヒメフォークというらしい。
しかも、食洗機対応の日本製を見つけたので、早速購入してみた。

後日届いたヒメフォークを開封すると、
やっぱり、どことなくばあちゃん家にあったものに似ていて、ほっこりした。

冷蔵庫に残っていた梨の皮を丁寧に剥いて、カットし、お皿に盛り付け、ヒメフォークで食べてみた。

ばあちゃんの梨…。

私の中では、ばあちゃんが切ってくれた梨を、ばあちゃん家のヒメフォークで食べてこそ、ばあちゃんの梨だったんだ。

その瞬間、ふわっと風が吹いた気がした。

ばあちゃん、天国で笑ってるかな?

次の休みは、ばあちゃんが好きだった和菓子をこのヒメフォークで食べてみよう。

休みの日の楽しみができた千晴は、それまでの仕事も頑張れる気がしてきたのだった。


〈ストーリーはイメージです〉




おしゃれな雑貨から、子育てに役立つ育児グッズ、
キャンプ用品、カー用品、生活便利グッズ、
おしゃれなカトラリー、可愛いキッチン雑貨、
ペットグッズまで幅広く取り扱う、
均一ショップ通販サイト!
安いけどおしゃれで可愛い、
プチプラだけど高見えする!
そんな雑貨との出会いをお楽しみください!